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同人誌の歴史
「同人」というものが定義されるようになったのは、1953年に石ノ森章太郎が月刊誌「漫画少年」の投稿仲間を集め「東日本漫画研究会」を作ったことが発端となる。その後は、1967年に発刊された「COM」(現在は休刊)の読者交流ページによって、同人サークルの結成が盛んになっていった。当時は個人で印刷するには、コストが非常に高かったため、「肉筆回覧誌」と呼ばれる、サークルや同人仲間などが制作した原稿を直接郵送し、受け取ったメンバーは自分の作品を追加して、次のサークルメンバーに郵送するという、回覧方式が一般的だった。
次第に「同人」という世界が確立し制作者が増えてくると、大学や高校といった教育機関にサークルが設立されていく。これらのサークルでは、学校からの資金提供が得られるため、印刷(オフセット印刷)による出版が多かった。
一方で、個人による制作が活発になったのは、1972年頃に放映された「ガッチャマン」あたりだといわれている。ただし発表の機会が少なく、制作者たちの集まりがあった程度で、普及しているとは言い難い状態だった。
そんなクローズドな世界が、一般的になり始めたのは、1975年のコミックマーケット開催が大きな原因となる。32サークル、参加者700人で始まった同人誌即売会は、そこから年を追うごとに大きなイベントとなっていくのである。当時の同人誌には、既存漫画のパロディーが多かったが、次第にエロの要素が含まれていき、その要素は次第に活発化していく。
一般的に知名度を得られていった同人誌は、制作者が増えるごとに、印刷所も増加していく。これにより、一部のサークルなどがオフセット印刷による製本を使用し、同人誌のクオリティーは向上する。ただそれでも現在のような低価格では製本が出来なかったため、資金の少ない同人サークルはコピーやプリンターを利用した製本にとどまっていた。
1980年代に入り、アニメーションが数多く放映され、それらを題材にしたパロディー本ややおい本、さらにはエロ要素の強い作品が現れる。とくに、1981年の『機動戦士ガンダム』や、1983年の『うる星やつら オンリー・ユー』、1984年の『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』などは、同人誌の題材として広く使われた。1980年代後期には『聖闘士星矢』や『トップをねらえ!』などの話題作品が登場し、同人業界は盛り上がりをみせる。
またこの頃から、『聖闘士星矢』や『鎧伝サムライトルーパー』といった、男の友情を描いた作品を使った、やおい系作品の存在が一般層にまで知れ渡ることになる。この頃には、一般家庭にPCが普及することになり、同人ソフトもリリースされ始める。「コミケット」に対抗するように「パソケット」という言葉が生まれ、同人誌即売会と同じような感覚でパソコンソフトが販売されるイベントが各地で開催された。当時はNECのPC-9801シリーズや、富士通のFM-TOWNS、またシャープのX68000などが全盛期の時代で、これらに対応したソフトや画集などが販売されていた。とくにX68000にはコアなユーザーが多く、マシンスペックも高かったため、数多くの名作が登場した。
1990年代に入ると、『美少女戦士セーラームーン』が放映され、子供から大人までを巻き込んだ大ヒットとなり、当然同人業界も本作品をモチーフにした作品が増える。美少女キャラが登場する作品だけに、エロ要素の強い作品が多く、レズ系の作品も多く登場した。
1990年半ばには、アニメ作品の同人誌を制作する動きと並行して、ゲームを扱った作品が多く登場する。内容的には、ゲームのキャラクターたちの生活を描いた、やおい作品や、エロ作品が大半を占めていた。また美少女ゲーム業界も、設立会社が増え、それに応じてソフトのリリース本数が増えていく。同人業界も一般ゲームだけでなく、美少女ゲームを題材とした作品が制作される。
この頃から、同人誌と商業誌の著作権の問題が表面化する。同人誌は基本的に非営利という原則のもとで、版権物の二次創作が可能であった。そのため、版権元と同人制作者の間に権利料についてなどの契約はなく、同人制作サイドの判断で制作されていた。ただその弊害として、キャラクターや作品のイメージを損なうような内容の同人誌であっても版権元は規制することが出来なかった。これは現在でも問題になっていることであり、今後の同人業界発展のためには、ある程度のルールを策定することが望まれている。
同人作品の種類
ジャンル
二次創作を基本とする同人誌だけに、元となった作品がある同人誌のことを指す。
オリジナル
その名のとおり、ストーリーやキャラクターなど、すべて制作者が考え出した作品のことをこう呼ぶ。
アニパロ
アニメのパロディーを扱った作品については略称としてこう呼ばれる。
やおい
男同士の恋愛やセックスなどを描いた作品のこと。最近では、「やおい」という名称に代わり、「ボーイズラブ」作品と呼ばれることもある。
ゆり
女同士により恋愛やセックスを描いた作品についての俗称。男同士の恋愛を「バラ」ということから、対義語として使われはじめた。語源は日活ロマンポルノで制作されていたビデオ作品で、女性の同性愛を描いた『百合族シリーズ』からきているといわれている。
ロリコン
ロリータ・コンプレックスの略で、成人女性ではなく少女に対して性的関心を抱く内容の作品に使われる。語源は、中年の男性が少女を愛する様子が描かれた、ウラジミール・ナボコフの小説『ロリータ』に由来する。
ショタコン
成人男性ではなく、少年に対しての愛情を描いた作品のこと。語源は『太陽の使者 鉄人28号』に登場した主人公・金田正太郎を愛する人を、「正太郎コンプレックス」と呼び、その略称からきている。
ネコミミ
猫耳状のものを頭につけた女性が登場する作品のこと。猫を擬人化したものや、猫の耳に見えるような髪型や、帽子をかぶっている少女が登場する作品が多い。基本的には女性が主人公で、ネコミミの男性が主人公となることは少ない。性格や習性も猫に近い場合がおおく、話し言葉の語尾には「~にゃ」などと書かれることが多い。
ケモノ
ネコミミと違い、姿から獣化しているキャラクターが登場する作品のこと。獣化とはいえ、見た目は人型をしていることが多く、実際の獣として描かれることは少ない。
(Text By: 山葉虎吉)
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